出典:加治木義博:言語復原史学会
『魏志倭人章』詳解1
垂仁天皇の邪馬壹国
67~68頁
『魏書東夷傳倭人章』の官名・人名を、『記・紀』の
それと比較すると、
よく似てはいるが、
どうもどこか、しっくり行かない点が多いことに、
お気付きになったと思う。
彦・日子は<ヒコ>という発音が正しいのに、
<ヒク>になっているし、
田裳は<タモ>なのに、<タム>になっている。
これをアルファベットで書いてみると、
hiko=hiku
tamo=tamu
と、語尾の母音が、
そろってになっているのがわかる。
こうした母音の違いは、方言による違いなのである。
沖縄方言では標準語のをと発音する。
この<ヒク・タム>という発音の仕方は、
沖縄方言と全く同じである。
御刀姫(ミバカシ姫)=眼眼妙媛で、
眼に当たる発音は<ミ>である。
沖縄方言では眼、目など<メ>の音を<ミ>と発音する。
これもまた沖縄方言と同じだ。
さらに目立つのは<ナ>と<ヌ>の逆転である。
渟名は<ヌナ>なのに
『魏書倭人章』の方は<ナヌ>になっている。
<イサナキ>も<イサヌキ>になっている。
沖縄方言では汝(ナンジ=あなた、君)を<ヌージ>という。
<ナ>と<ヌ>の逆転が明瞭にみられる。
<伊支馬>も<万葉ガナ>では<イキマ>になるが、
漢字の上古音では<イチマ>に近い。
沖縄方言では<キ>を<チ>と発音する。
君は<チミ>、菊は<チク>である。
沖縄方言は母音がの三つしかない。
だから沖縄方言は三母音語に属し、
すぐ見分けることが出来るのである。
こうしてみて行くと、
『魏書倭人伝』の官名・人名の特徴は、
沖縄方言型のものが実に多いことがわかる。
帯方郡使が当て字で記録して置いてくれた名前は、
倭国の人々の内に沖縄方言を話す人たちがいたことを、
はっきりと証言しているのである。
『参考』
小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
0 件のコメント:
コメントを投稿