2010年6月27日日曜日

沖縄方言型の官名・人名

 

 出典:加治木義博:言語復原史学会
    『魏志倭人章』詳解1
    垂仁天皇の邪馬壹国
    67~68頁


 『魏書東夷傳倭人章』の官名・人名を、『記・紀』の

 それと比較すると、

 よく似てはいるが、

 どうもどこか、しっくり行かない点が多いことに、

 お気付きになったと思う。

 彦・日子は<ヒコ>という発音が正しいのに、

 <ヒク>になっているし、

 田裳は<タモ>なのに、<タム>になっている。

 これをアルファベットで書いてみると、

 hiko=hiku

 tamo=tamu  

 と、語尾の母音が、

 そろってになっているのがわかる。

 こうした母音の違いは、方言による違いなのである。

 沖縄方言では標準語のと発音する。

 この<ヒク・タム>という発音の仕方は、

 沖縄方言と全く同じである。

 御刀姫(ミバカシ姫)=眼眼妙媛で、

 眼に当たる発音は<ミ>である。

 沖縄方言では眼、目など<メ>の音を<ミ>と発音する。

 これもまた沖縄方言と同じだ。

 さらに目立つのは<ナ>と<ヌ>の逆転である。

 渟名は<ヌナ>なのに

 『魏書倭人章』の方は<ナヌ>になっている。

 <イサナキ>も<イサヌキ>になっている。

 沖縄方言では汝(ナンジ=あなた、君)を<ヌージ>という。

 <ナ>と<ヌ>の逆転が明瞭にみられる。

 <伊支馬>も<万葉ガナ>では<イキマ>になるが、

 漢字の上古音では<イチマ>に近い。

 沖縄方言では<キ>を<チ>と発音する。

 君は<チミ>、菊は<チク>である。

 沖縄方言は母音がの三つしかない。


 だから沖縄方言は三母音語に属し、

 すぐ見分けることが出来るのである。

 こうしてみて行くと、

 『魏書倭人伝』の官名・人名の特徴は、

 沖縄方言型のものが実に多いことがわかる。

 帯方郡使が当て字で記録して置いてくれた名前は、

 倭国の人々の内に沖縄方言を話す人たちがいたことを、

 はっきりと証言しているのである。
 

 『参考』

小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書

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