出典:加治木義博
日本人のルーツ
保育社:カラーブックス
<日本人のルーツ>-その探求の一方法-
加治木義博著
古墳時代の人が使った「よろい」は大きく分けて二つの型がある。
一つは胴だけを守る「短甲(たんこう)」で、もう一つは腰から下も保護する「挂甲(けいこう)」で、どちらも鉄製であるから重い。
短甲はギリシャやローマで使われたものとよく似て比較的軽く、剣で闘うのに便利なので歩戦用と考えられている。
挂甲の方は重くてとても歩いては闘えないから騎馬用とされてきた。
しかし写真のように現在サハリンのアイヌ人が、全く同型のものを革で作っているのをみると、アイヌ人は馬を使わない人々だから、騎馬用というのは疑問である。
アイヌ人は古くは日本全域に住んであり、日本人に同化した人々と北上した人々があった。
挂甲を遣したのはアイヌ系の人々だったとみることは可能である。
だが現在のアイヌの人たちは<古墳>を造らない。
サハリン・アイヌ人が古墳人の子孫であるかどうかは、この革の挂甲だけで結論を出すことはできない。
しかしこれまで日本人とアイヌ人は、異民族視されてきたが、たとえば日本語の<眼>は、アイヌ語で<ケレッ>で、カレン語では<メキリー>という。
日本の<メ>と、アイヌの<ケレッ>を足して、やや方言化した形をもち、本来一つの言葉が三つに分かれた形になっている。
こうしたものは他にも多いから、従来の異民族視は改めて再考の余地があろう。
<写真>
●アレクサンドロスの鎧:ボンベイ出土の壁画
●挂甲(鉄):大阪府長持山古墳出土
●挂甲(革):サハリン・アイヌ
●短甲(鉄):宮崎県えびの市
●短甲(胴):ギリシャ
『参考』
『歴史の画像』
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小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書 『メソポタミア世界』
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