出典:加治木義博:言語復原史学会
異説・日本古代国家
㈱田畑書店
148~149頁
さきにスサノオの命の別名には
「神」、「速」、「建速」ということばを
冠してあったのを見た。
これは同じ名についていて、この部分だけ変化するので、
一種の肩書きであることがわかるが、
この変化の謎は何を意味するのであろうか?。
『古事記』の国生みの段には、
イサナキ、イサナミ、両神が、日本列島を生む話があるが、
その国名をみると、
「筑紫国を白日別という」、
「豊国を豊日別という」、
「肥国を建日向日豊久士比泥別という」、
「熊曾国を建日別という」とある。
これが九州の四つの国名なのだが、
このあとの名は別名(またのな)というより、
応神天皇族などに見られる誉田別と同じく、
人名であることにお気づきだと思う。
これを確信させてくれるのは、その他の国名が、たとえば
「讃岐国を飯依比(ヒ)古(コ)という」、
「知(チ)詞(カ)島を天忍男(オ)という」、
「粟(アハ)国を大宜都比(ヒ)売(メ)という」、
「伊予国を愛比売という」、
「津島を天挟手依比売という」
とあることで、これは間違いもなく、
それらの国王名なのである。
なぜなら、神であれば部族によって祭る神が違い、
一国に一神だけということはないが、
王は二人はないからである。
しかし今は、そんなことが問題なのではない。
これらの名前を分類してみると、次ページのようになるが、
分類の基準にした肩書きの部分は、
一体何を意味するとお思いであろうか?。
各国王名分類表(『古事記』国生みの段)
天孫族
⑫天忍許呂別 オキ三子島
⑬天比登都柱 イキ
⑭天狭手依比売 ツシマ
⑪天御虚空豊秋津根別 大倭豊秋津島
⑮天一根 ヒメ島
⑯天忍男 チカ島
⑰天両屋 フタ子島
建族
⑥建依別 トサの国
②建日向日豊久士比泥別 ヒの国
①建日別 クマソの国
⑩建日方別 キビの児島
大族
⑦大宜都比売 アハの国
⑱大野手比売 小豆島
⑲大多麻流別 大島
③白日別 ツクシの国
④豊日別 豊の国
↑⑨穂狭別 アハジ島
↑⑤愛比売 イヨの国
予報 ↑⑧飯依比古 サヌキの国
「図:これまで考えられてきた国生み地図」
数字は各国王名分類表に対応。
『参考』
小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
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