出典:加治木義博:言語復原史学会
異説・日本古代国家
㈱田畑書店
83~85頁
系譜もまた『古事記』には詳細に出ている。
その系譜にざっと目を通して面白いことに気がついた。
それは、命が、大山津見の神の娘「神大市比売」と結婚し、
命の子、
八島士奴美の神もまた大山津見の娘
「木花知流(コのハナチル)比売」と結婚していることである。
大山津見の娘は天孫降臨の主人公、ニニギの命とも結婚している、
有名な「木花佐久夜(コのハナサクヤ)毘売」である。
これは現代人の常識なら、スサノオの命と、
ニニギの命は義兄弟ということになる。
スサノオの命と天照大神との間に生れた
天忍穂耳(アメのオシホミミ)の命の子が
ニニギの命であるから、二人は祖父と孫でもある。
それが同じ姉妹と結婚したのであるから、
当然互いに行き来がありそうなものなのに、
この二人は出雲族と天孫族に分れてしまい、
時代も隔絶して、全く無関係なのである。
どうやら、ここでも分裂現象が起っているような予感がする。
どんな考え方をしても、5代も前のおバアさんと、
結婚することはあり得ない。
これはあれこれ考えるより、
系譜に間違いがあると考えるほかない。
そもそものはじめスサノオの命とその子ヤシマジヌミの妃が
共に
オホヤマツミの子であることからして、おかしかったのである。
「写真:応神天皇誉田陵賠冢出土品」
大阪府羽曳野市の丸山古墳から1848年に発掘されたもので、
写真のものは金銅透彫の鞍の装飾金具であり43.3cm(国宝)。
このほか鞍部品や鹿角装の刀や鎧 鉄鍬等の残欠が現存。
「古墳:森浩一」>
誉田山古墳では、陪冢の丸山古墳から金銅装の見事な馬具が
江戸時代に発掘されていて、
誉田神社に伝えられている。
前期古墳から馬具が出土した例はないから、
誉田山古墳の時期から乗馬に関する遺物が急に現れる。
スサノオの命の系譜
(見やすかようにカナ書きとし、尊称は省略する。
よみ方は仮りのもので、原典をあとで引用して補う)。
イザナギ┐┌ヒルコ
├┼アハシマ (オホクニヌシ)┐
イザナミ┘├オオヒルメ┐ ├アヂスキタカヒコネ
├ツキヨミ ├──────────タキリヒメ┘
│ ┌─┘ ├タキツヒメ
└「スサノオ」────────┐└イチキシマヒメ
└──────────┐│
├─ヤシマジヌミ┐
オホヤマツミ┬アシナヅチ─クシナダヒメ┘├オホトシ │
├カムオホチヒメ──────┴ウカノミタマ│
├コノハナサクヤヒメ┐ │
│ ニニギノミコト┘ ├フハノモヂクヌスヌ┐
└────────────コノハナチルヒメ┘ │
├
オカミ─ヒカハヒメ┘
フハノモヂクヌスヌ┐ アメノツドヘチネ┐
│ ├オミヅヌ┐
├─フカヤチノミズヤレ─┘ ├アメノフユギヌ
オカミ─ヒカハヒメ┘ フテミミ┘
「前ページより」
オミヅヌ┐
├アメノフユギヌ───┐
フテミミ┘ ├(オホクニヌシ)
サシクニオホ─サシクニワカヒメ┘│ │ │
│ │ │
│ │ │
カムヤタテヒメ─┼─┴─┼─ヤヘコトロヌシ
│ │
「スサノオ」─タキリヒメ─┼───┴┬アヂスキタカヒコネ
│ └タカヒメ
ヤシムムヂ─トリトリ─┴─────トリナルミ─クニオシトミ
(オホクニヌシ)6代あとの大国主と、タキリヒメが結婚したことになっている。
(注)よみは武田祐吉著「古事記」(角川文庫)による。
『参考』
小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
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