出典:加治木義博:言語復原史学会
異説・日本古代国家
㈱田畑書店
193~194頁
私がいくら悲憤こうがいしても、まだピンと来ない方々のために、
神話は宗教用に作られたものばかりではない、
という生きた証拠をお眼にかけよう。
主題はイナバの白ウサギである。
さっそく神話伝説辞典にはどう書いてあるか見てみよう。
(69頁、原文のまま)
『いなばのしろうさぎ 稲羽の素蒐 「古事記」に見える。
和邇(わに)をだまして、
その眷属の数をわが眷属の数と比べて見ようと、
和邇を海に並ばせ、
その背を飛んで隠岐島から因幡まで渡る。
渡りきった所で、うまく欺き了せたことをあかすので、
和邇は怒り、兎の皮をはぎ取る。
痛さのあまり泣いている所を、
大国主命の兄の八十神達が因幡の八上比売の許に
求婚に行く途中通りかかり、
塩水を浴びると良いと教えるので、
その通りにすると苦痛が加わり泣く。
大国主が通りかかり真水で洗い、
蒲黄(がまのはな)の上に転べば、
本復すると教えるので、それを実行すると癒ったという。
この話は有名だが、
民間説話が大国主の神話に結びついたものらしい。
インドネシアの小鹿が、鰐どもをだまして並ばせ、
背を踏み川の対岸に渡る話と京のものであろうと言われる。』
「写真:古事記の原文の一部」
大国主命は大穴牟遅神となっている。
「因幡の白兎」
故、此大国主神兄弟八十神坐。
然、皆国者避於避於大国主神。
所以避者、其八十神、
各有欲婚稲羽之八上比売之心、共行稲羽時、
於大穴牟遅神負帒為従者率往。
於是、到気多之前時、裸菟伏也。爾、八十神、
謂其菟云、汝将為者、浴此海塩、当風吹而、
伏高山尾上。故、其菟、従八十神之教而伏。
爾、其塩従乾、其身皮悉見吹折故、痛苦泣伏者、
最後之来大穴牟遅神、見其菟言、何由汝泣伏。
菟答言、僕在淤岐島、雖欲度此地無度因故、
欺海和爾(此二字、以音。下效此)言、
吾与汝競欲計族之多少。故、汝者随其族在悉率来、
自此島至于気多前、皆列伏度。
爾、吾踏其上走乍読度、於是知与吾族孰多。
如此言者、見欺而列伏之時、吾踏其上、読度来、
今将下地時、吾云、汝者我見欺言竟、
即伏最瑞和邇、捕我悉剥我衣服。
因此泣患者、先行八十神之命以、誨告、浴海塩当風伏。
故、為如教者、我身悉傷。於是、大穴牟遅神、教告其菟、
今急往此水門、以水洗汝身、
即取其水門之蒲黄、敷散而、輾転其上者、汝身如本膚必差。
故、為如教、其身如本也。
此稲羽之素菟者也。於今者謂菟神也。故、
其菟白大穴牟遅神、此八十神者、必不得八上此売。
雖負帒、汝命獲之。
『参考』
小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
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